税理士を目指すなら、大学で選ぶべき学部として最もおすすめなのは、商学部や経済学部、経営学部、あるいは法学部です。それぞれの学部には税理士試験との親和性があり、将来の受験や実務にも役立つ内容を学べます。
以下、学部ごとの特徴を詳しく説明します。
1. 商学部(最も王道)
特徴:
- 簿記・会計・財務の基礎がしっかり学べる
- 多くの大学で「簿記論」「財務会計論」など税理士試験と直接関係する講義がある
- 税理士を目指す人が多く、試験勉強の環境が整っている
おすすめの理由:
商学部は会計分野に特化しており、日商簿記1級の取得にも直結する知識を得られるため、税理士試験の必須科目(簿記論・財務諸表論)対策に最適です。
2. 経済学部/経営学部
特徴:
- 経済原理、企業経営、財務管理、マクロ経済など幅広い視点で経済を理解できる
- 税法や法人税の背景となる経済理論を学べる
- 大学によっては会計系の科目も履修可能
おすすめの理由:
企業経営の現場での税理士業務を見据えるなら、企業の経営構造や経済全体の仕組みに強くなることは大きな武器になります。
3. 法学部(税法に強くなる)
特徴:
- 憲法、民法、商法、行政法、税法など、法的な知識を深く学べる
- 「相続税法」「所得税法」「法人税法」などの理解に直結する
おすすめの理由:
税理士試験の中でも「税法科目(所得税、法人税、相続税など)」に強くなるだけでなく、トラブル対応など実務にも役立ちます。
4. 迷ったときは?
- とにかく実務寄りに学びたい → 商学部
- 企業経営や経済の広い視野がほしい → 経済学部/経営学部
- 法律に強くなりたい → 法学部
5. その他の選択肢:大学院進学による試験免除
もし大学卒業後に大学院へ進学して、「税法」や「会計学」に関する研究を2年以上行えば、税理士試験の一部科目(最大3科目)が免除される制度もあります。商学系・法学系の大学院進学を見越して学部を選ぶのも戦略の一つです。
まとめ
学部 | 向いている人 | 税理士との相性 |
---|---|---|
商学部 | 実務で会計に強くなりたい | ◎ 最適 |
経済学部 | 経済の仕組みも理解したい | ○ 良好 |
経営学部 | 経営全体と会計を学びたい | ○ 良好 |
法学部 | 税法や法律に強くなりたい | ○ 良好 |
商学部に進学し、税理士を目指すなら、最初のステップとして「簿記」を取得することが極めて重要です。簿記の知識は税理士試験の基礎であり、税理士としての実務にも直接役立ちます。ここでは、商学部の学生が税理士になるために簿記をどのように取得すればよいか、その方法やポイントを長文で丁寧に解説します。
1. なぜ簿記が必要なのか?
簿記とは、会社や個人の経済活動(お金の流れ)を記録し、整理する技術のことです。税理士試験の必須科目には「簿記論」と「財務諸表論」があり、どちらも簿記の基礎知識なしでは歯が立ちません。
また、実際の税理士業務においても、帳簿の確認や決算書の作成、企業の財務状況の分析など、簿記の知識は不可欠です。そのため、税理士を目指す人にとって、簿記の習得は**「スタートライン」**です。
2. 商学部で簿記を学ぶメリット
商学部では、多くの大学で以下のような授業が開講されています:
- 簿記入門
- 中級簿記
- 会計学基礎
- 原価計算
- 財務会計論
これらの講義をしっかり受講すれば、簿記検定の内容と重なる部分が多いため、大学の勉強がそのまま試験対策になります。
さらに、大学によっては日商簿記2級・1級の対策講座や資格支援制度を設けているところもあり、学生のうちから本格的な対策が可能です。
3. 簿記検定のステップ
日商簿記は、もっとも知名度が高く、税理士試験の受験資格にも直結する検定です。
ステップ①:日商簿記3級(基礎レベル)
- 対象:初心者向け
- 内容:仕訳、帳簿、試算表など、商業簿記の基礎
- 目安:独学で1~2ヶ月
★商学部の授業で学ぶ内容とほぼ一致しているため、早期合格が狙えます。
ステップ②:日商簿記2級(実務レベル)
- 対象:企業の経理担当者レベル
- 内容:商業簿記+工業簿記(原価計算など)
- 合格率:20~30%前後
- 目安:3〜4ヶ月以上の学習が必要
★この資格を持っていれば、税理士試験の「実務経験ルート」の条件にも利用できます。
ステップ③:日商簿記1級(上級・試験資格獲得)
- 対象:税理士・会計士などの専門職志望者
- 内容:会計学・商業簿記・工業簿記・原価計算
- 合格率:10%前後(かなり難関)
- 目安:半年~1年以上の学習が必要
★この1級を持っていれば、税理士試験の受験資格が得られます(大卒資格がなくてもOK)。
4. 勉強方法:どのように簿記を取るか?
A. 大学の授業を活用する
- 商学部の会計・簿記科目は、資格試験の基礎に直結しています。
- 試験に直結する講義(例:会計演習など)は優先的に履修。
B. 資格予備校を併用する
- TAC、資格の大原、LECなどは日商簿記対策に強い。
- 特に日商簿記1級は、独学では難しいため講座の活用が有効。
C. 自学自習でも可能
- 市販のテキスト(「スッキリわかる簿記シリーズ」など)を使えば、独学でも3級~2級は十分合格可能。
- 学生のうちにコツコツ進めるのがカギ。
5. いつから始めるべきか?
- 大学1年のうちに簿記3級を取得
- 2年生までに簿記2級を取得
- 3〜4年生で簿記1級+税理士試験科目の勉強を始める
このようなスケジュールで動ければ、卒業後すぐに税理士試験の受験資格を得て、本格的なチャレンジが可能になります。
6. 補足:在学中に目指せること
- 簿記1級取得
- 税理士試験の科目合格(在学中でも受験可能)
- 実務インターン(会計事務所などでの経験)
- 税理士法人・会計事務所への就職活動準備
7. まとめ
商学部に通う税理士志望の学生にとって、簿記の取得は「資格への第一歩」であり、大学生活を有意義に使う最大のチャンスです。