税理士になるには 独学で社会人になったあとに税理士になる方法

独学で社会人になってから税理士を目指す――これは一見すると大変そうに思えるかもしれませんが、実際には多くの税理士が社会人経験を経てから資格取得を目指しています。特に独学での挑戦は、自分のペースで取り組めるという大きなメリットがあります。

ここでは、「独学で社会人から税理士を目指す方法」について、必要なステップ、実際の学習方法、受験資格の取得、働きながら合格するための工夫などを、わかりやすく・長文で丁寧に解説します。


1. 社会人から税理士を目指す魅力とは?

  • 安定した資格:一度取得すれば一生使える国家資格
  • 独立・開業も可能:努力次第で自分の事務所を持てる
  • 年収アップ・キャリア転換に有利
  • 知識が仕事に直結する:経理、経営、財務、法務など幅広く役立つ

今の仕事に限界を感じていたり、手に職をつけたいと思っている人には、税理士という道は非常に強い選択肢です。


2. 税理士になるまでの基本ステップ(社会人・独学版)

  1. 税理士試験の受験資格を得る
  2. 5科目に合格する(3〜5年かかる人が多い)
  3. 2年以上の実務経験を積む
  4. 税理士登録を行う

社会人は「働きながら勉強する」ことが基本になりますが、時間管理と正しい学習戦略さえあれば、独学でも十分に可能です。


3. 税理士試験の受験資格を得るには?

受験資格にはいくつかのルートがありますが、社会人にとって現実的な方法は次の3つです。

① 日商簿記1級の取得

  • 日商簿記1級に合格すれば、大学卒業の有無に関係なく、税理士試験を受験可能。
  • 独学でも取得可能だが、合格率は10%前後と高難度。

② 大学・短大・専門学校の特定科目履修

  • 商学部や経済学部、法学部などで「会計学または法律学に関する科目」を1科目以上修了していれば受験可能。
  • 社会人でも通信制大学や放送大学を使えばこの条件を満たせる。

③ 実務経験+簿記2級

  • 税理士・会計士事務所で2年以上働き、かつ簿記2級以上を取得すれば受験資格あり。
  • 働きながら受験資格を整えたい人向けの現実的なルート。

4. 受験科目と合格戦略(5科目合格が必要)

税理士試験は、以下のような科目から構成されています。

■ 必須科目(2科目)

  • 簿記論
  • 財務諸表論

■ 選択必須科目(1科目を選択)

  • 所得税法
  • 法人税法

■ 選択科目(2科目を選択)

  • 相続税法
  • 消費税法
  • 固定資産税 など

★戦略のポイント:

  • 最初に簿記論と財務諸表論を受けるのが基本
  • 毎年1〜2科目ずつ合格を重ね、数年で5科目合格を目指す
  • 途中で仕事を辞める必要はないが、時間の確保と継続がカギ

5. 独学で勉強する方法

独学での合格は十分可能ですが、効率のよい勉強法を取らないと続きません。

① 市販の教材を使う

  • 「TAC出版」「大原」「クレアール」などが出しているテキスト・問題集が定番
  • まずは簿記3級から始め、2級→1級へステップアップ

② スケジュールを作る

  • 平日は1〜2時間、休日に3〜5時間が目安
  • 1年目は「簿記論・財表」に集中 → 翌年以降に税法科目へ

③ YouTubeや無料講座を活用する

  • 「CPA会計学院」「ネットスクール」などがYouTubeに無料講座を公開
  • 独学でも講義の雰囲気を掴める

④ 過去問と答練が命

  • 理論暗記と計算問題の繰り返しが必須
  • 過去問を5〜10年分解くことが基本

6. 働きながら合格するためのコツ

  • 毎日のルーティンを固定化(朝型・夜型どちらでも可)
  • スキマ時間の活用(通勤・昼休みなど)
  • 理解より暗記を優先する時期もある
  • 家族や職場の理解を得る(できれば)
  • モチベーション維持が最重要

7. 実務経験を積むには?

税理士になるには、試験合格だけでなく「2年以上の実務経験」が必要です。

取得方法:

  • 税理士事務所や会計事務所に勤務する
  • 経理職として企業に勤める(条件を満たせば実務として認められる)

独学しながら転職を視野に入れるのも選択肢です。


8. 社会人が税理士を目指す場合のリアルなスケジュール例(5年間プラン)

年度主な目標・活動内容
1年目簿記2級取得、実務経験開始 or 通信大学入学
2年目日商簿記1級取得 or 受験資格達成、税理士試験スタート(簿記論・財表)
3年目法人税 or 所得税に挑戦
4年目消費税・相続税など選択科目に取り組む
5年目残りの科目合格 → 実務期間達成 → 税理士登録申請へ

まとめ

社会人になってから独学で税理士を目指すには、以下の3つが重要です。

  1. 戦略的に受験資格を得る
  2. 計画的に5科目合格を目指す
  3. 働きながら実務経験を積む or 転職で実務を得る

独学は孤独な戦いですが、自分のペースで進められ、費用も抑えられるという利点があります。そして、数年後には**「一生ものの資格」**が手に入ります。実際に、働きながらコツコツと合格を重ねていった社会人税理士はたくさんいます。

「今からでも遅くない」
それどころか、人生を変える一歩になります。

独学で簿記1級を取るための教材

独学で簿記1級を目指すとなると、まず最初に悩むのが「どの教材を使えばいいか?」ということです。簿記1級は非常に難易度が高く、合格率も約10%前後。だからこそ、教材選びが合否を左右すると言っても過言ではありません

ここでは、独学でも合格を目指せるように、日商簿記1級の出題範囲や教材の選び方、各出版社ごとの特徴、勉強の順序まで、長文で丁寧に解説します


■ 日商簿記1級とは?簡単におさらい

  • 試験科目は4つ
    ① 商業簿記
    ② 会計学
    ③ 工業簿記
    ④ 原価計算
  • 合格には「70点以上かつ4科目すべてで40点以上」が必要
  • 出題範囲は広く、計算力と理論力の両方が問われる
  • 税理士試験や会計士試験の足がかりにもなる

■ 教材選びの基本方針

独学で使う教材は、次の3つが基本セットになります:

  1. テキスト(講義本)
  2. 問題集(アウトプット重視)
  3. 過去問集(本番対策)

できれば、同じ出版社のシリーズで揃えるのが安心です。説明の流れや問題の構成が連動しているので、迷わず学習できます。


■ おすすめの教材シリーズ(独学向け)

①【TAC出版】スッキリわかるシリーズ+実戦問題集

📘【特徴】

  • 初学者にやさしい解説
  • ストーリー仕立てで頭に入りやすい
  • 各回のゴールが明確で挫折しにくい
  • 「理論」も丁寧に解説されている

📕【構成例】

  • 『スッキリわかる 商業簿記1級』上下巻
  • 『スッキリわかる 工業簿記・原価計算1級』上下巻
  • 『スッキリ解ける 過去+予想問題集』

📈【こんな人におすすめ】

  • 簿記2級からステップアップしたい人
  • できるだけ楽しく、わかりやすく学びたい人
  • 初めて簿記1級に挑戦する人

②【大原出版】合格テキスト・合格トレーニング

📘【特徴】

  • 受験指導実績トップクラス
  • 学校教材をそのまま市販化したような実践型
  • 問題演習の質が高く、合格者も多い

📕【構成例】

  • 『合格テキスト 商業簿記・会計学』全4冊
  • 『合格テキスト 工業簿記・原価計算』全2冊
  • 『合格トレーニング(問題集)』各分野別
  • 『模擬試験問題集』『過去問集』

📈【こんな人におすすめ】

  • 勉強時間を多く確保できる人
  • ストイックに学習したい人
  • 難関試験に慣れている人(例:公務員経験者など)

③【ネットスクール】サクッとうかるシリーズ

📘【特徴】

  • コンパクトでコスパがよい
  • 簿記の専門出版社で、内容が濃い
  • 独学の声に応えて作られている

📕【構成例】

  • 『サクッとうかる 日商簿記1級 商業簿記』など各分野別
  • 『サクッと解けるトレーニング』シリーズ
  • 『過去問解説集』

📈【こんな人におすすめ】

  • 短時間でポイントを押さえたい人
  • コストを抑えつつ合格を狙いたい人
  • 簿記1級を2回目以降で受験する人

■ 教材+α:補助教材や無料リソースも活用しよう

YouTube・無料講義動画

  • 【CPA会計学院】【ネットスクール】などが無料で1級講義を公開
  • 独学でも「プロ講師の解説」で理解が深まる

アプリ(仕訳対策・理論暗記)

  • 『パブロフ簿記1級』『簿記合格クエスト』など、スマホでスキマ学習に最適

理論暗記カード

  • 市販の理論カードや、Excelで自作する方法も◎

■ 学習の順序と計画例(目安:1年)

目標内容
1〜3月商業簿記・会計学のインプット(テキスト+問題集)
4〜6月工業簿記・原価計算のインプットと並行学習
7〜9月総合問題・過去問の演習開始、理論暗記も本格化
10〜11月模試・時間配分訓練、本試験対策に集中
12月試験本番(月初)

■ まとめ:独学で1級合格するための教材セット(例)

✅ テキスト
→ 『スッキリわかる 簿記1級シリーズ』 or 『合格テキスト』

✅ 問題集
→ 上記シリーズの演習本 or 『合格トレーニング』

✅ 過去問集
→ 『合格するための過去問題集』など、最新5年分が収録されているもの

✅ 補助教材
→ YouTube講義、アプリ、理論カード


最後に

簿記1級の合格には、地道な努力と継続が必要です。でも、正しい教材を使い、毎日少しずつでも前進すれば、独学でも必ず合格できます。

独学で勉強して税理士になるために、社会人として仕事と両立するための時間管理術

独学で税理士を目指す社会人にとって、最大のハードルは「時間の確保と管理」です。
仕事が忙しく、家庭やプライベートの責任もある中で、膨大な学習時間が必要な税理士試験に挑むのは並大抵のことではありません。

でも、実際に「働きながら、独学で税理士試験に合格した人」はたくさんいます。
彼らに共通しているのは、圧倒的な時間管理術と継続の力です。

ここでは、社会人として仕事と両立しながら税理士を目指すための「現実的かつ実践的な時間管理術」を、長文で具体的に解説します。


1. 時間がない人ほど、スケジューリングが命

社会人の勉強時間は限られています。だからこそ、1日のスケジュールを「意思の力に頼らず、仕組みで固定化する」ことが重要です。

■ 1日を3つに分けて考える(黄金の時間帯を探す)

時間帯特徴勉強法
朝(5:00〜7:30)頭が冴えて集中力◎理論暗記・新しい分野の理解
昼(昼休みなど)スキマ時間暗記カード、仕訳練習
夜(19:00〜23:00)疲れやすいが時間はある過去問・計算演習・復習

✅ 朝型を習慣化できると、合格率がぐんと高まるという声も多いです。


2. 「1日2時間の勉強時間」を生み出す7つの工夫

① 通勤時間を有効活用

  • 電車の中で理論を読む、音声教材で耳学習
  • スマホアプリで一問一答(例:簿記アプリ、Quizlet)

② 朝活を導入

  • 最初は30分だけ早起き → 徐々に60分 → 最終的に90分確保
  • 朝イチに「理論の暗記」や「新しい単元の理解」を回す

③ 家事や作業を「ながら勉強」

  • 洗濯・料理中は音声学習(録音した理論など)
  • ジョギング中に講義音声を流す人も多いです

④ スマホを封印する

  • 通知オフ or 勉強用スマホを用意
  • SNSや動画を「1日のご褒美」に回す

⑤ 休日のルーティン化

  • 土日は図書館やカフェで勉強する習慣をつける
  • 「朝3時間+午後2時間=5時間」などのまとまった学習を確保

⑥ タイムトラッキング(時間記録)

  • 勉強に費やした時間を「見える化」することで継続力UP
  • アプリ(Toggl、StudyPlusなど)を活用

⑦ タスク管理を導入する

  • その日に「やること」を3つだけ決めておく(例:「理論No.3暗記」「第2問過去問」など)
  • 達成できたらしっかり自分を褒める

3. 社会人のための学習週間サンプル

曜日学習内容の例時間帯勉強時間
理論暗記、過去問1題朝+夜2時間
新単元のテキスト読解朝+通勤1.5時間
計算練習、理論復習2時間
総合問題、ミスノート作成朝+夜2時間
YouTube講義視聴+確認通勤+夜1.5時間
模擬試験、過去問演習午前〜午後5時間
弱点補強、翌週の計画午前+夜4時間

✅ 平日:毎日1.5〜2時間
✅ 週末:合計10時間以上
→ 合計週20時間を目安にすれば、合格圏に入るペースです。


4. モチベーションを維持する工夫

✅ 目標を可視化する

  • スケジュール帳やアプリに「税理士になるまでのロードマップ」を描く
  • 合格後にやりたいこと(独立、転職、収入アップ)を書き出す

✅ 勉強仲間やSNSを活用する

  • SNSで勉強アカウントを作る(#今日の積み上げ など)
  • 同じ目標を持つ人とつながるだけで継続力が高まる

✅ できた日は「自分にご褒美」

  • 週末に好きなカフェでスイーツ
  • 合格したら行きたい旅行先を決めておく

5. それでも挫折しそうになったら?

  • 「1日でも勉強できたらOK」とハードルを下げる
  • 忙しい日は10分でも良いので理論を1項目だけ読む
  • 完璧主義は不要、「続けること」に価値がある

最後に:社会人が税理士になるための心構え

税理士試験は確かに長丁場ですが、一歩ずつ積み重ねる人が必ず合格します

✅ 朝30分の早起き
✅ 昼休みの暗記カード
✅ 夜の1時間の復習
これを「毎日続けた人」が、合格者になるのです。

「1日2時間の積み重ねが、5年後にあなたの人生を変える」

焦らず、でも諦めずに、日々の小さな努力を積み上げましょう。