税理士を目指すうえで、専門学校の活用は非常に大きな武器になります。
独学ではどうしても時間がかかったり理解が浅くなりやすい部分を、専門学校は「効率よく、体系的に、合格に直結する学び」として提供してくれます。
ただし、専門学校にもそれぞれの「強み・弱み」「学習スタイル」「費用やサポート体制」があります。
ここでは、税理士を目指す人のための専門学校の選び方と、その効果的な活用方法を、丁寧に長文で解説します。
✅ 1. 専門学校を使うメリットとは?
税理士試験はとても難しく、合格まで平均5年〜7年ほどかかるとも言われます。
その長く険しい道のりを、最短ルートに変えてくれるのが専門学校の存在です。
● 主なメリット
- 出題傾向に沿った講義や教材(合格に直結)
- プロ講師による分かりやすい解説
- 質の高い模擬試験・添削指導・個別相談
- 合格者のノウハウや「戦略」が手に入る
- 同じ目標を持つ仲間との出会い・モチベ維持
✅ 2. 専門学校の代表例と特徴
学校名 | 特徴・強み | 向いている人 |
---|---|---|
TAC(タック) | 合格実績多数。大手で教材・講師の質が高い。模試や全国模試も豊富。 | 王道で失敗したくない人、働きながら合格したい人 |
大原簿記学校 | 面倒見がよくサポート厚い。講義もテンポよく理解しやすい。 | 初学者・簿記から始める人、短期合格を目指す人 |
LEC東京リーガルマインド | 理論重視で、効率的な暗記法や解説が得意。 | 社会人や法律系科目に強い人 |
クレアール | 通信専門。価格が安く、働く社会人に特化した柔軟学習スタイル。 | 地方在住、コスパ重視の社会人、独学からの切り替え |
資格の学校フォーサイト | フルカラー教材・アニメ風講義など視覚的に優れた通信講座 | 初学者、短期間で1〜2科目を狙いたい人 |
✅ 3. 専門学校を選ぶ5つのチェックポイント
- 通学型 or 通信型か
- 通学:直接講義で集中できるが、時間拘束あり
- 通信:好きな時間に受講できるが、自己管理が必要
- 講師や教材のわかりやすさ
- 無料体験講義を必ず視聴し、相性を見る
- 予備校の公式YouTubeで雰囲気をチェック
- 受講スケジュールの柔軟性
- 社会人は「Web振替講義」など再視聴できるか要確認
- 合格実績・合格体験談
- 科目別の合格率や体験談にリアリティがあるかをチェック
- 費用とサポート体制
- 科目ごとの価格、割引制度(再受講、独学経験者など)を確認
- チューター制度、質問対応の有無も重要
✅ 4. 専門学校を最大限活用する方法
● 【1】教材をフル活用する
- テキスト・トレーニング・過去問集の3点を中心に勉強する
- 教材に書き込み・要約・色分けして「自分仕様」にする
● 【2】講義は“受ける”のではなく“参加する”
- 毎回の講義前にテキスト予習 → 講義中は要点メモ
- 終わったら24時間以内に復習することで記憶定着率UP
● 【3】模試は本番と同じように受ける
- 模擬試験はアウトプットの練習+実力チェックに最適
- 点数に一喜一憂せず、間違えた理由を分析・記録する
● 【4】講師・チューターと積極的に関わる
- 質問や相談を「躊躇せずに活用」する人が合格に近い
- 勉強のやり方や弱点補強法も教えてもらえる
● 【5】勉強仲間を作る
- 通学の場合:休憩時間に情報交換
- SNSやオンライン講義内で「同じ科目の仲間」を見つける
- モチベーションと継続力が段違いに上がる
✅ 5. 科目別の学習戦略にも学校を活用しよう
税理士試験は5科目合格制。自分のスケジュールや得意・不得意を考えて「何年で、どの科目から取るか」を戦略的に組む必要があります。
例えば:
- 1年目:簿記論+財務諸表論(セット受講で効率化)
- 2年目:消費税法(計算系)+理論が軽めの国税徴収法
- 3年目:法人税法 or 所得税法(ボス科目)でフィニッシュ
この「科目配分」も、講師やカウンセラーに相談して組んでもらうと安心です。
✅ まとめ:専門学校は「自力+支援の両輪」
専門学校はあくまで「道しるべ」。
実際に走るのはあなた自身ですが、その道が最短かつ安全になるように、プロのノウハウと仕組みを最大限活用しましょう。
税理士専門学校の費用や学費
税理士を目指す上で、専門学校に通うことは「合格までの近道」になりますが、その一方で気になるのが費用・学費です。
専門学校は決して安くはなく、複数年にわたる通学が前提となるため、しっかりとした資金計画を立てる必要があります。
ここでは、税理士専門学校の学費相場や、科目別・通学/通信別の違い、学費を抑えるコツ、教育訓練給付金の活用法まで、長文で丁寧に解説します。
✅ 1. 税理士専門学校の学費相場(全体像)
税理士試験は「5科目合格制」。
1科目あたりの受講料を積み重ねていくため、トータルで50万~150万円前後が相場です。
学習スタイル | 1科目あたりの学費(目安) | 特徴 |
---|---|---|
通学講座(TAC・大原など) | 10万~18万円 | 生講義+質問対応あり。教材も充実 |
通信講座(TAC通信、大原通信) | 8万~15万円 | 時間に縛られず受講可能 |
完全通信(クレアール・フォーサイト) | 5万~10万円 | コスパ重視。Web動画+教材中心 |
※ 難関科目(法人税法・所得税法など)は他より+2〜4万円ほど高くなります。
✅ 2. TAC・大原の代表的な学費例(2025年現在)
● TAC(税理士講座)
コース | 科目 | 価格(税込) |
---|---|---|
簿記論・財務諸表論 | 各基本コース | 約160,000円前後(通学) |
消費税法・法人税法 | 上級コース | 約180,000円〜200,000円 |
パック割(2科目同時) | 簿財パック | 約280,000円〜300,000円 |
- Web通信でも同程度(少し安い場合あり)
- 早期申込や割引制度あり(最大20%オフ)
● 大原簿記学校(税理士講座)
科目 | コース例 | 学費(税込) |
---|---|---|
簿記論・財務諸表論 | 短期合格コース | 約150,000〜170,000円 |
法人税法・相続税法 | 上級一発合格コース | 約180,000〜210,000円 |
2科目セット割引 | 簿財パック | 約270,000円前後 |
- 模試、添削、担任制指導込み
- 教材の厚さと質に定評あり
✅ 3. 安く抑えたい人におすすめ:通信専門校の学費例
● クレアール(通信専門)
内容 | 金額(目安) |
---|---|
簿記論・財務諸表論(2科目パック) | 約90,000円〜120,000円 |
法人税法などボス科目(単科) | 約50,000〜60,000円 |
- 時期によって大幅割引(最大50%オフキャンペーンあり)
- 教育訓練給付制度の対象講座多数
- Web配信中心(音声DL、倍速再生対応)
✅ 4. 学費を抑えるためのポイント
● ① 早期申込割引を活用
- 2〜3ヶ月前の申込で5%〜最大20%OFFになる学校多数
● ② 複数科目パック割引
- 「簿財セット」や「理論+計算」セットにすると安くなる
● ③ 再受講・リベンジ割引制度
- 落ちた場合の再受講が半額 or 無料(条件あり)
● ④ 教育訓練給付金を活用(後述)
✅ 5. 教育訓練給付金とは?
厚生労働省が実施する補助制度で、対象者は受講料の20%(最大10万円まで)が戻ってきます。
● 申請条件(例):
- 雇用保険に1年以上(再利用の場合は3年以上)加入している
- 対象講座であること(TAC、大原、クレアール等は多数が対象)
● 例:15万円の講座 → 実質12万円に!
● 申請方法:
- 受講前に「ハローワークで講座の届け出確認」
- 修了後に修了証明書などを提出 → 振込
✅ 最新の給付対象講座は、学校のWebサイトかハローワークで確認できます。
✅ 6. トータルでいくらかかる?(シミュレーション)
学習年数 | 学習スタイル | 総費用目安 |
---|---|---|
3年(2科目+2科目+1科目) | 通学(TAC) | 約90万〜120万円 |
3年 | 通信(クレアール) | 約40万〜60万円 |
5年(ゆっくり) | 通学・通信併用 | 約100万〜150万円 |
→ **「時間をとるか、お金をとるか」**は人によって判断が分かれます。
→ 独学で1〜2科目+専門学校で難関科目だけ受講、という方法も有効です。
✅ まとめ:学費は“投資”だが、賢く選べば大きな差に
税理士資格は「一生モノの武器」になります。
そのための費用は**一種の“投資”**ではありますが、上手に選べば数十万円の差も生まれます。
- コスパ重視 → 通信校(クレアール等)
- サポート重視 → 大手予備校(TAC・大原)
- 両立重視 → Web通信・振替制度活用
あなたのライフスタイル、仕事状況、現在の学力、将来像に合わせて「無理なく通える学校と予算」を選びましょう。